「私の本、また出るの? 入院しとってすっかり忘れていました(笑)。ありがたいことでございます」
穏やかな口ぶりでそう笑うのは、広島県尾道市で1人暮らしを続ける石井哲代さん(103)だ。
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昨年1月に刊行された哲代さんの著作は大ヒット。この度、シリーズの第2弾『103歳、名言だらけ。なーんちゃって 哲代おばあちゃんの長う生きてきたからわかること』(中国新聞社と共著、小社刊)が出版され、累計20万部となった。
少しずつできないことも増える中、明るく前向きに人生を楽しむ哲代さん。
口から飛び出す名言の数々は、人生100年時代を生きるシニアが老後を過ごす上で良いヒントとなる。
そこで、哲代さんにご機嫌に生きる新たな5カ条を聞いてみた。
1 体が衰えても、心だけは元気でちゃんとする
哲代さんは1920年(大正9年)4月29日生まれ。103歳ともなれば、体の機能はどうしても衰える。昨年は、足の感染症などによって三度の入院を経験した。この冬の寒さから身を守るため、最近まで施設に「越冬入所」していた。
「病院やデイサービス、近所の人がようしてくれるからいつも感謝しとります。足がまた動くようになれば、近所にお話をしに行きたいです」(哲代さん)
誰でも体が動かないと気落ちする。しかし、哲代さんは、自分の心を奮い立たせる方法を、新著の中でこう書いている。
〈体は思うように動かんけれど、心だけは自由です。ドクンドクンと活発に動くんでございます。こちらはさびついとりませんよ。何事も思い切り喜んだり、悲しんだりして、ああ今日も生きたぞと感謝する日々でございます。〉
哲代さんはとにかく気持ちが明るい。
「体は動かんけど、心だけでも元気でちゃんとせんといけんの。それでも、目だけはよく見える(笑)」
その心は、103歳になっても老いる気配を見せない。
2 算数ドリルと日記で毎日手と頭を動かす
新聞を読むのが日課という哲代さん。他にも昔からのルーティンをできる限りやめないようにしている。
「最近は家におらんかったから書いとらんけど、また日記を書きます! 算数のドリルも解くつもり。書けるときに書かんとね」(同前)