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「スタッドレス履いてないけど大丈夫かな?」…“積雪パニック”に揺れる首都圏ドライバーの“恐るべき実情”

2024/02/05

genre : ライフ, 社会

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東京でも可能なかぎりスタッドレス装着を

 以上のことから考えると、たとえ東京都心部を主な行動範囲としている場合であっても、毎冬スタッドレスタイヤへの交換を済ませておくことが望ましいだろう。できればあらかじめ、車を購入する段階から、スタッドレスタイヤの購入費やシーズンごとの交換費用を維持費として計算に入れておきたいところである。

 そうでない場合には、必ずタイヤチェーンなどを購入し、冬期は車に常備しておくことが求められる。現在では布製チェーンをはじめ、装着が簡単でスペースを取らない製品も登場している。もちろんどの製品を選ぶにしても、自車への適合を確認したうえで、いざという時にスムーズに装着できるよう、購入から間を置かずに装着テストをしておくことが大切だ。

 ただし、チェーンやスタッドレスタイヤを装着していたとしても過信は禁物である。圧雪路における衝突被害軽減ブレーキの実効性を調査するJAFのテストにおいては、スタッドレスタイヤ装着車両であっても、時速30kmからのブレーキが間に合わず、障害物に衝突してしまった例が報告されている。スタッドレスタイヤを履いていようが、通常路面に比べて制動距離が伸びてしまうことに変わりはないのである。

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 雪道においては、スタッドレスタイヤやチェーンによって対策を講じることを前提に、急アクセル・急ブレーキ・急ハンドルを避け、車間距離を大きく取りながら運転することが求められる。そもそも外出を避けられるのであれば、そうするに越したことはない。

 雪道をノーマルタイヤで走ることは、法規に背く行為であるとともに、ドライバーとしての安全配慮義務を軽んじる行為である。一度走り出してしまえば、その車両は「制御不能の巨大な鉄塊」と化し、周囲を危険に巻き込んでしまう……そう肝に銘じる必要がある。

 とはいえやはり、「状況に応じた自己判断」はどうしてもエラーを起こすことがある。社会的な意識づけの面でも、「首都圏でもスタッドレスタイヤは必要」という価値観を浸透させていかないと、「積雪パニック」はいつまでも変わらないのかもしれない。

「スタッドレス履いてないけど大丈夫かな?」…“積雪パニック”に揺れる首都圏ドライバーの“恐るべき実情”

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