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「沈黙の時間があるのは当然」“プロのラーメンライター”が明かした「インタビューで一番やってはいけないこと」

『できる人だけが知っている 「ここだけの話」を聞く技術』より #1

2024/05/14
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 相手が「話し上手」ではなくてもインタビューを円滑に進めるコツとは? そしてインタビューで一番やってはいけないこととはいったい? ラーメンライターとして活躍する、井手隊長による初の著書『できる人だけが知っている 「ここだけの話」を聞く技術』(秀和システム)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

プロのラーメンライターが明かす「インタビューの秘訣」とは?(写真:著者インスタグラムより)

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「沈黙」はあってもいい

 会話の中で「沈黙」が怖いというのはよくある話。

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 ひとつの話題が終わると、なんとなく「……」と沈黙の時間ができてしまうというのは、会話が得意な方であっても、誰でも思い当たると思います。

 とくに初対面の「はじめまして」のタイミングで、沈黙時間ゼロで会話を続けろというのは無理な話でしょう。

 実際に会話の引き出しが無限にあるという人は稀で、どうしても沈黙の時間は出てしまうもの。

 ただ、その会話の目的が「沈黙を作らないこと」かというと、それもまた違うかなと思います。

 あくまで、目の前の相手といいコミュニケーションを作ることが会話の目的だとするならば、沈黙があったらダメということにはならないのです。

 むしろ、沈黙の時間があるのは当然です。

 沈黙の時間に焦って次の話題が出てこず、さらに焦ってしまい、そのあいだに相手が気まずさから「今日はこの辺で……」となるのは、あまりに残念な話です。

 沈黙の時間が訪れたときに、私がよく使うのは「なるほど~、そうなんですね」と、少し間を作りつつ、目の前にある料理やドリンクについて触れるという手法です。

 会食なら料理があると思いますし、打ち合わせならドリンクが目の前にあるでしょう。私のラーメン店の取材でいえば「それにしてもこのグラスカッコいいですね!」とか「いやぁ、ほんとにスープ旨かったです!」とかこんなレベルです。

 私が取材しているラーメン店主の中でも「しゃべらない人」というのは結構います。そもそも、ラーメン店主はラーメン作りが得意なわけで、しゃべることには慣れていないことのほうが多いです。そういう店主からお話を伺うときは、こちらがまくしたてることなく、ゆっくりとしたペースを保つようにします。