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「車内には妻の血の跡」「海底から見つかった娘の頭蓋骨」家族4人が行方不明に…「仏ゴダール一家失踪事件」に残された“奇妙なナゾ”

『読んで震えろ!世界の未解決ミステリー』より #2

genre : ニュース, 社会

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 1999年、フランスで一家4人が行方不明に……。妻は生きている可能性が低く、さらにその翌年に海底からは長女の頭蓋骨、7年後には主人の骨が発見。ゴダール一家に何が起きたのか? 鉄人社による新刊『読んで震えろ!世界の未解決ミステリー』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

4人はどこへ消えたのか? 写真はイメージ ©getty

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仏ゴダール一家失踪事件

 1999年9月1日、フランス北西部の街カーンで鍼灸院を営むイヴ・ゴダール(当時44歳)が、レンタルしたヨット「ニック号」に娘のカミーユ(同6歳)と息子のマリウス(同4歳)を乗せ、サン・マロ港を出発した。が、どういうわけかイヴの妻マリエ=フランス(同不明)は、これに同行しなかった。

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 ニック号は穏やかな海をブルターニュの海岸に沿って西へ走行。翌2日、フレエル岬で検問のため税関職員に停止させられる。中を確認されるも危険物などは積まれていなかったため、検査は無事に通過。後の税関職員の話によれば、このとき2人の子供は船内で眠っていたという。その後、イヴは順調に航海を進め、3日にはブルターニュの港に到着。釣りをしていた人がヨットのデッキに2人の子供がいるのを見たが、この目撃証言を最後にゴダール親子3人の行方がわからなくなってしまう。

 同月5日、バッツ島という島から50キロほどの沖合で漂流している救命ボートが、通りかかった漁船によって発見された。ボートの中にはライフジャケットや小切手帳が置かれており、後の調べでそれらの持ち主がイヴだと判明する。そこから、イヴが8月30日にニック号をレンタルし5日に返却する予定だったことがわかったが、肝心のニック号や親子3人の姿はどこにもなかった。数日後、ヨットが返却されないことを不審に思ったレンタル店が警察に連絡。

 捜査が開始されると、レンタル店の近くにイヴの車が停められており、車内に大量の血痕が残されているのが見つかる。事件性を感じた警察がイヴの家を捜索すると、寝室や浴室からも血痕を発見。それらをDNA鑑定に回し、血痕がイヴの妻マリエ=フランスのものと特定。発見された血液の量からして、マリエ=フランスはすでに生きていない可能性が高い。警察はイヴが妻を殺害し、遺体をどこかに遺棄した疑いが強いとみて、彼を国際指名手配する。

 イヴたちの行方がわからなくなってから2週間が経過した9月16日に別のライフジャケットが、1週間後にはヨットの備品であるゴムボートが岸辺で発見された。専門家によれば、これらは海流に乗って岸までたどり着いたとは考えにくく、誰かが意図的にその場所に投棄した可能性が強いという。