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不正続きの中古車業界…今だから知りたい「ヤバイ車」を回避するための“意外なチェックポイント”

2023/09/22
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 ビッグモーターの相次ぐ不正問題に加え、ネクステージにも不正疑惑が浮上し、いまや問題は中古車業界全体にまで波及しつつある。以前から修復歴の偽装など、悪質な手口を用いる中古車業者の存在は一部で指摘されていたが、いまやそれ以上に醜悪な実態が次々に明かされているのである。

 これから中古車を買おうとしている人は、おそらくこれまで以上に「店選び」に対して慎重にならざるをえないだろう。また同時に、「自分の目で車両の状態を見きわめるための知識」をつけておくことも、自衛の手段として大切である。

 しかし、車の知識をほとんどもたない消費者が、車両状態を適切に見きわめるにはどうすればよいのか。今回は中古車店や板金・整備工場のスタッフから、「現車確認におけるチェックポイント」について話を聞いた。

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写真はイメージ ©️AFLO

◆◆◆

鑑定書を信頼しすぎるのは危険

 気になった車両の状態を知るうえでまず参考になるのが、車両状態をランク付けする「鑑定書」制度である。中古車情報サイトなどに掲載されている車両のなかには、キズ・ヘコミの状態や、機関の状態に対する評価を記載したシートが添付されているものがあり、実車を見ていなくてもある程度の状態を把握できる。

 しかし、この鑑定書はどの程度信頼できるものなのか。

「業者オークションでは出品に際して車両状態の鑑定が行われますが、基本的には内外装の状態と、修復歴の有無を確認するもので、詳しく機関などの状態まで検査するものではありません。

 オークションの運営元によっても検査方法は異なりますが、鑑定書での評価はあくまで参考程度で、単純に『高い点数=いい状態』とは考えない方がいいと思います。もちろん、キズと修復歴に関してはある程度信頼を置いていいと思いますが。

 ただ、自分の体感としては、オークションで仕入れて実際に動かしてみたときに、点数と実際の状態とのギャップを感じることはよくありますね」(個人経営中古車店代表A氏)

 中古車両の鑑定書にはいくつかの種類があり、上のようにオークション会場で発行されるもののほか、中古車店・グループが独自に発行しているものもある。自社内での評価を鵜呑みにすることにはリスクがあるが、販売時点での「修復歴の有無」や「走行距離」についての記載を証拠として残すうえでは役立つかもしれない。

 第三者評価による客観性の担保という意味では、中古車情報サイトが導入している鑑定制度が参考になる。中古車店が中古車情報サイトに依頼し、外部の専門機関が店頭車両の鑑定を行ったうえで、その結果をサイト上に掲載する仕組みである。修復歴や走行距離、水没の有無など、瑕疵をめぐる基本情報はチェックできるだろう。

 ただしこれも、機関などの状態を包括的に保証するものではない。また、鑑定はプロの目で行われるとはいえ、絶対に見過ごしがないとは言い切れない。たとえば国民生活センターでは、中古車情報サイトが発行する認定書において「修復歴なし」とされていた車体が、後からディーラーで修復箇所を指摘された事例が報告されている。

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